2019/4/29

ファブレス経営とは

ファブレス経営とは

ファブレス(fabless)とは工場(fabrication facility略してfab)を持たない(less)という意味で、「ファブレス経営」とは「自社で生産設備を持たないビジネスモデル」を意味します。つまり、工場を持たないメーカーが、自社で企画した商品を、他社の生産工場に委託して製造し、自社ブランドとして販売するビジネスモデルと言えます。ファブレス経営は、従来のメーカーで必要とされてきた生産用の大規模な設備投資を不要とし、研究開発やマーケティング機能に資金を集中できます。市場参入の障壁を下げる、市場の急激な変化にも対応しやすいといったメリットから、製品のライフサイクルが短い半導体やコンピューター企業を中心に、近年成功例の多い経営方式です。

代表的な企業

ファブレスとすることで自社のコア・コンピタンスに経営資源を集中させ、競争優位性を獲得している代表的な事例をご紹介します。

代表的な企業:Apple

ファブレス経営における最大の成功例とされるのが、Appleです。コア・コンピタンスである優れたデザイン力と、それを生かす製品の、企画、設計、販売機能に経営資源を集中させることで、独自市場を開拓して顧客を取り込み、ブランド力を強化、世界で唯一の存在となりました。

製造工程は、Appleコントロールの下、韓国や台湾のEMS企業に委託することで、品質維持とコストダウンを実現させています。一方で、ファブレスでありながら、巨額の設備投資を行っていることもAppleの特徴です。Appleは生産に必要な切削加工機やレーザー加工機、検査機器を所有し、使用方法を記載した文書とともに委託先に貸与しています。生産設備をAppleが握ることで、デザインの競合他社への流出を防ぎ、品質の維持を実現しています。

代表的な企業:キーエンス

日本国内におけるファブレス経営の成功例には、センサ、測定機器メーカーであるキーエンスがあげられます。「付加価値の創造」を企業の存在意義として掲げ、製品のうち7割が業界初・世界初の製品という、圧倒的な競争力を有しています。

キーエンスは特に販売機能に注力し、直販営業を武器にしています。顧客の現場で生の声を聞きながら解決案を共に検討することで、研究開発費を抑えつつ、「世界初」「業界初」の製品開発を実現しています。

一般的なファブレス経営同様、製造工程は外部委託し、商品ごとに最適な生産ラインを選択する方式を選択しています。一方で、調達機能を自社で持つのがキーエンスの特徴です。素材や原材料の多くはキーエンスが調達して委託先に渡すことで、ボリュームメリットを享受しています。

代表的な企業:MTG

MTGは「ReFa」と「SIXPAD」をフラッグシップに据える、美容機器やフィットネス機器などのメーカーです。企画力・開発力に注力し、「ブランド開発カンパニー」を冠しています。MTGはファブレス経営により、多角的に・圧倒的に向上する商品開発スピードを活用して成長しています。

同社売上の約5割を占めるReFaブランドは、高速でのシリーズ化により、ローラー型美顔器大ヒット後の反動的落ち込み防止に成功しました。ヘッド用やボディ用、さらにはローラーを使用する時につける化粧品など、次々と市場投入を果たすことで、圧倒的な競争力を得、参入当初約50社だった競合企業は、3社ほどにまで減少しました。

代表的な企業:任天堂

ゲーム・玩具メーカー任天堂も、国内ファブレスメーカーの代表例です。製造は委託先企業で行い、その中心は中国です。

玩具の製品サイクルは短く、ブームとして熱狂的に販売される商品が、突然まったく売れなくなり、大量の在庫を抱えてしまう例は過去に何度も目にされています。そのため、任天堂では生産調整・人員調整が容易なファブレス経営を採用しています。特に売上の99%超を占めるコンピュータゲーム関連は完全ファブレスとし、宇治の自社工場は、検査や修理に特化し、部品の製造もしていません。

ゲーム機本体の企画力に経営資源を集約することで魅力的な製品を作りあげることができる他、ゲーム機は一般的なデジタル機器と比較して単純な技術を採用していること、寡占市場であり価格競争にさらされないこともファブレス経営に向いているといえます。

代表的な企業:エレコム

マウスからルーターまで1万7000点もの商品群を持つパソコン周辺機器大手エレコムも、自前の工場を持たず、中国や台湾のメーカーに製造委託しています。コモディティー製品でありながら増収増益を続けているのは、ファブレス経営の成功例といえます。

エレコムは、商品企画力・商品販売力・商品調達力を柱として、ローコスト・ローリスクなスピード経営を成し遂げています。年間4,000件以上の商品を開発し、3~4年でほぼ全商品を入れ替えるという多品種開発は、ファブレスにより実現しています。

代表的な企業:クアルコム

スマートフォン向け半導体プロセッサで世界No.1のシェアを堅持するアメリカの半導体メーカークアルコムは、研究開発に特化するファブレス企業であり、研究開発費は売り上げの20%にも及びます。

一方で、研究開発以外の機能は、パートナー企業との連携により実現しており、例えば製造工程はTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)などに委託しています。同社の成長には、半導体産業の水平分業が進みファウンダリが大きくなったことも追い風になったといえます。

代表的な企業:ナイキ

トランプ米大統領から国の雇用に貢献していない企業と名指しされたナイキは、創業当時からファブレス経営を行っており、ナイキのコア・コンピタンスはスポーツマーケティングと契約工場のコントロールともいわれます。

ナイキはスポーツアパレル業界において高収益率を獲得していますが、生産コスト低減に大きく関与するのがオフショアへの製造委託であり、中でもベトナム、インドネシア、中国の3国で全体の3/4を占めるなどアジアに集約されています。

代表的な企業:ナイキ

トランプ米大統領から国の雇用に貢献していない企業と名指しされたナイキは、創業当時からファブレス経営を行っており、ナイキのコア・コンピタンスはスポーツマーケティングと契約工場のコントロールともいわれます。

ナイキはスポーツアパレル業界において高収益率を獲得していますが、生産コスト低減に大きく関与するのがオフショアへの製造委託であり、中でもベトナム、インドネシア、中国の3国で全体の3/4を占めるなどアジアに集約されています。

ファブレス経営のメリット

「ファブレス」の大きなメリットには「設備投資が最小限であること」「競争力の源泉である開発分野に、経営資源を集約することが可能であること」があげられます。これにより、次のような効果を得る事ができます。

  1. 1.製造ノウハウや大きな資本は持たないが、卓越したアイデアを持つベンチャー企業が
    市場参入しやすい。
  2. 2.市場の急速な変化にも素早く対応できる。事業撤退の判断にも極小のコストで対応できる。
  3. 3.損益分岐点を引き下げることができる。
  4. 4.複数の工場に発注することで競争が生じ、納期短縮やコストダウンを達成できる。


ファブレス経営のデメリット

一方で、自社に製造機能を持たないことで、次のようなデメリットを抱えます。

  1. 1.情報漏えいや模倣されるリスクがある。
  2. 2.製品のクオリティ管理が困難である。
  3. 3.製造のスキルやナレッジを得られない。

これに対し、Appleは生産設備を貸与したり、製造・検査手法を指定することで、クオリティを担保しています。

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